小児歯科
小児歯科
強い痛みなどの緊急性が高い場合を除いて、無理やり治療をすることはありません。とくに泣いて暴れるお子様を押さえつけて無理に治療をしたところで、精度の高い治療はのぞめません。結局まともな治療はできずに「歯医者はこわいところだ!」というトラウマをうえつけるだけになってしまいます。
当院では、はじめて来院されるお子様や治療の苦手なお子様は、まずは歯医者に慣れてもらえるように練習から始めます。
当院には小児に慣れた女医も在籍しておりますので、ご希望にあった歯科医師を指名していただけます。
虫歯を治療しても、乳歯では詰め物が外れてしまうなどのトラブルが永久歯に比べて多いです。また、乳歯の時期に虫歯が多いと、大人になっても虫歯菌が定着しやすい口腔内環境が引き継がれ、虫歯になりやすい人生になってしまいます。そのため、子どものうちから虫歯を作らないことが重要です。
家で歯磨きをするとき、「歯は1日何回磨くのか」「どう磨かせればいいか」、「仕上げ磨きはどう行うか」、「どんな歯ブラシ・歯磨き粉を使えばいいか」など、家での歯磨きについて歯科衛生士からアドバイスさせていただきます。お子様の成長や年齢によっても変わりますので、お気軽にお話しいただければと思います。
子どもでは4~6ヶ月に一度、歯科医院での検診が推奨されます。しっかりと歯磨きできているか、虫歯、歯の生え替わりなどをチェックします。最初は手の歯ブラシから始め、徐々に慣れてきたら大人と同じ専用器具でクリーニングをします。また、高濃度フッ素を塗布します。定期検診に子どもの頃から通っていると、中高生や大人になった時に虫歯や歯周病に罹患する割合が低いというデータもあります。口の中を見られる、触られることに早くから慣れていくことが、将来的な歯の健康のために重要です。
現在、ほとんどの歯磨き粉にフッ素が含まれており、毎日の歯磨きで使うことは非常に有効です。フッ化物配合歯磨剤の虫歯予防効果については世界的に数多くの調査があり、報告数が最も多い予防率は30~40%です。これに加えて、歯科医院でのフッ化物歯面塗布をすることで、歯磨剤のみに比べ乳歯の虫歯減少率65%が認められています。
市販の歯磨き粉のフッ化物イオン濃度は1,500ppm以下に定められており、1,450ppm程度までのものが販売されています。子ども用としては950ppm・500ppm・100ppmが販売されています。
歯の表面にフッ化物を塗ることによって虫歯抵抗性を与える方法で、1歳児から実施しています。歯科医院で扱うフッ化物イオン濃度は9000ppmと高濃度で、毎日のフッ化物配合歯磨剤と併用することが推奨されます。フッ化物歯面塗布は単に1回受けても効果は得られず、年2回以上定期的に継続して受ける必要があります。乳幼児に定期的に継続して実施した場合、虫歯をほぼ半分に減少させたとの報告があります。また永久歯に対する予防効果については20~30%の報告が多いです。
フッ素には以下の3点の役割があり、虫歯予防に有効です。
歯の表面構造のエナメル質結晶内に取り込まれたフッ化物によって、脱灰抑制作用・酸抵抗性を持ちます。
食後の口腔内はpHが酸性へ傾き、エナメル質の脱灰が起こりやすくなります。フッ化物が存在することで、脱灰エナメル質中のリン酸カルシウムの反応性が高まり、歯の再石灰化を促します。
フッ化物がプラーク(歯垢)中に取り込まれると、細菌の代謝系酵素を阻害して酸の産生を抑制します。
答えは「歯が生え始めたら」です。以下に、その理由を説明していきます。
虫歯の原因である虫歯菌(ミュータンス菌)は、生まれたばかりの赤ちゃんの口の中にはいません。仮に口の中に入ってきても、虫歯菌は歯にすみつかないと生存できません。ところが歯が生え始める生後6~8ヶ月頃から、感染が始まります。特に乳歯の奥歯が生えそろう1歳7ヶ月~2歳7ヶ月は、奥歯を足場として虫歯菌が定着しやすいです。この時期は「感染の窓」と呼ばれ、注意が必要とされています。
虫歯菌に感染する時期が早いほど、その後に虫歯ができやすい傾向にあります。逆に、この時期にご家庭や歯科医院でしっかり感染予防ができれば、その後は虫歯になりにくくなります。
虫歯菌は、主に親の唾液中の虫歯菌がキスや食事の口移し、スプーンの共有などによって子どもに感染します。仮に親に虫歯がなかったとしても、虫歯菌は少なからず唾液中に存在していて発症していないだけです。なので、これらの行為を避けることが子どもへの感染予防に有効です。